2020/05/19 20:00
陶芸作家
吉永 哲子 Noriko Yoshinaga
静岡県掛川市
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【プロフィール】
和光大学にて陶芸をはじめる
2006年 世田谷で陶芸教室「陶工房」主宰
2019年7月 静岡県掛川市に拠点を移す
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吉永哲子さんが作る器の多くは土と釉薬が生み出す質感や手作業による風合いを大事にしたナチュラルで飾り気の少ないあたたかさを感じる器です。
吉永哲子さんは現在、静岡県掛川市の自然豊かな山間で作陶されています。
2019年8月にご夫婦で飲食店と陶芸工房を営める場所を求め東京から静岡県掛川市の移住されました。
ごはん屋さんはパートナーの夏樹さん、そして哲子さんは陶芸担当。
実際に移住した先はなんと築200年の古民家! さらに、以前住んでいた方が陶芸をされていたそうで古民家の脇に工房用の小屋があり、そこで哲子さんは作陶されています。
古民家と工房の周りの雑木や土砂の整理からはじまり、古民家は住まい兼ごはん屋さんの店舗にするためお二人とお仲間で約1年かけてリノベーションし美しく蘇らせたそうです。
工房内には先代の方が残していったガス窯が2台、そして哲子さんが東京から運んだ電気窯が一台あります。
ガス窯はこれから整備して使えるようにしたいそうです。
哲子さんも以前はガス窯を使用しており、粉引きの器も作っていたそうなので、ガス窯が蘇った際には粉引やそれ以外の電気窯ではできない焼成法の器を再開したいとおっしゃっていました。
轆轤のある作業スペースは大きな窓に囲まれとても明るく、広々として作業しやすそうな工房でした。
取材に行った日も天気がよく外の緑がきれいでした。
工房にはここで拾われた2匹の猫さんが哲子さんの作業を見守ります。
時々作った器のチェックもしてくれるのでヒヤヒヤすることもあるそうです(笑)
大学で研究会で陶芸を始めた哲子さん、その後も世田谷で陶芸教室を営みながらご自身の作品を15年近く作り続けてこられました。
土は信楽の土など4種類ほど作るものに合わせて調合しているそうです。
焼成方法は現在、電気窯での酸化焼成、先にも紹介したようにガス窯も復活復活すればまた幅広い表現が見られると思います。
コテやヘラ、削りの道具など木製のものは自分で削って、使いやすいものを作っているそうです。
哲子さんは成形時の勢いや手の感覚を大事にしていて成形後の削り作業を極力いれません。
手を入れすぎない、という強いこだわりを感じます。
哲子さんの器には程よい厚みがあり、高台の無い糸切り底の器が多いのもそういった理由からなのかもしれません。
釉薬掛けも器の形状や溶けやすい釉薬などと理由はいろいろありますが、ドブ掛けせずに刷毛塗りをするなど、土や釉薬に合わせ工夫されています。
器作りの中で、喜びややりがいを感じることを聞いてみると、
「お客様の手に渡った器が、料理を盛られたり花をいけられたりしている場面や写真に出会う時が嬉しい」
そうおっしゃっていました。
巣立った器たちの活躍している姿を見ることでモチベーションに繋がるそうです。
「日々の暮らしの中にすっと馴染み、生活を底上げするような、縁の下の力持ち的器をつくりたいです」と語る吉永哲子さんの器は個性的な形や色味のものが多くあります。
どんな料理に使おうかワクワクするような器たちを是非試してみてほしいと思います。
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吉永 哲子
静岡県掛川市
出店・出品情報はインスタグラムをご覧ください
『したたむ』という屋号で、陶芸工房と一緒にご飯屋さんも営んでいます。
夫の夏樹さんが美味しいご飯と器使いも提案してくれる素敵なお店です。
こちらには黒猫のクマさんも。
営業の情報はホームページでご確認ください。